症状から選ぶ漢方薬

症状から選ぶ漢方薬

あなたの辛い症状はどれですか?

高血圧

病のとらえ方

漢方では、高血圧を気・血・水の異常とみます。気に異常があるタイプはちょっとしたストレスですぐに血圧変動を起こし、ストレスをためると血圧が下がりにくいタイプです。降圧薬や減塩療法ではなかなか血圧が下がらず、特に下の血圧が下がりにくいのが特徴です。血に異常があるタイプは、瘀血体質で、本態性高血圧と呼ばれるものの大半がこれに当たります。のぼせ、目の充血、めまい、頭痛、肩こりなどの症状が顕著で、便秘が加わると症状は一層悪化します。なお、瘀血悪化の兆候として、首の後ろに重ねもちのように横筋が入ったり、ひどくなると吹き出ものができる場合があります。ここまでくると脳卒中をおこす危険性が高いので要注意です。水に異常のあるタイプは腎に負担がかかり、水分代謝が悪く、水毒体質となって高血圧が起きるタイプ。むくみや尿不利を伴うことが多いです。

よく用いられる漢方薬

桂枝茯苓丸/桃核承気湯:冷えのぼせがあり、顔が赤く、頭痛、めまい、肩こりがある場合に。便秘のある場合は桃核承気湯がよい
黄連解毒湯/三黄瀉心湯:のぼせが強く、便秘があり、皮膚がどす黒く、吹き出ものが出る、充血、鼻出血、頭痛、胃炎、口内炎などを伴うものによい。黄連解毒湯は便秘がない場合に
八味地黄丸:腎性高血圧に。夜間排尿が多く、口渇が強く、腰のだるさや手足のほてりなどを伴うものによい
釣藤散:慢性的に神経が疲れ、のぼせがあり、朝方や午前中に血圧が上がりやすいものによい
加味逍遥散:イライラしやすく、のぼせや動悸があるものによい
桂枝加竜骨牡蛎湯/柴胡加竜骨牡蛎湯:動悸、不眠があり、不安が強いものに。さらに、みぞおちのつかえや便秘がある場合は、柴胡加竜骨牡蛎湯がよい
五苓散/真武湯:五苓散は口が渇き、小便の出が悪く、むくみやすい場合に。真武湯は手足が冷えてむくみやめまいなどがある場合によい

すぐにできる養生法

高血圧は獣肉を中心とした高脂肪と高血糖による血管の慢性炎症が動脈硬化を生じ、塩分の過剰摂取とストレスでさらに悪化します。蛋白質は豆、魚、鶏を中心に、乳製品を含む高コレステロール食を控え、塩分は1日6gを目標に減塩しましょう。また、原則禁煙し飲食は控えめにします。なお心臓病などの合併症がなければ、適度な運動が血圧を下げるのに有効です。適度の運動としては、1週間に3~4回、30~40分の早歩きや水泳がお勧めです。

食事療法

降圧作用のあるものは、トマト、セロリ、セリ、柿、玉ネギ、ニンニクなどです。トマトはジュースでも構いませんが、塩分を含んでいるものは、高血圧の人には向きません。セロリは刻んで絞り、大さじ1杯の絞り汁に少量のハチミツを加え、1日3回、毎日続けて飲むと血圧が下がってきます。セリは500gを4カップの水で半量になるまで煎じ、砂糖を少し加えて飲みます。柿はのぼせを冷ます作用があり、柿の葉茶も高血圧に良い飲み物です。なお、瘀血を助長するチョコレート、エビ、カニ、ホタテのほか、イクラやタラコなどの魚卵類、アルコール類などは避けましょう。

『東洋医学おさらい帳』(じほう)より引用