症状から選ぶ漢方薬

症状から選ぶ漢方薬

あなたの辛い症状はどれですか?

腰痛

病のとらえ方

腰痛の原因は、関節痛と同じく風・寒・湿の三邪によると考えます。「風邪」の場合は発汗、「寒邪」の場合は温補、「湿邪」の場合は除湿することで治療しますが(筋肉・関節痛・神経痛・リウマチ参照)、いずれの場合も急性期は発汗をメインに筋肉の緊張を緩和します。慢性期では、血流の改善や体表の除湿など原因に合わせて治療を行います。また、高齢者で腰痛を起こしやすい人は「腎気の不足」と考えて腎を補い、足腰の強化を図ります。

よく用いられる漢方薬

麻黄湯:風邪による腰痛や腰痛の急性期に。発汗して腰の筋肉の緊張を解く
桂枝加朮附湯:慢性化し、冷えると悪化しする腰痛に。腰から足にかけて痛む坐骨神経痛にも効果的。体を中からを温め、しびれや痛みを取り除く
麻杏薏甘湯:重だるさが強く、湿度が高いと悪化する慢性化した腰痛に。湿邪を除き、筋肉の動きをよくする。夕方足がむくむものにもよい
八味地黄丸:高齢で夜間排尿が多く、足腰が弱っている場合に。腎気を補い、足腰を強化する
五積散:慢性化して、重だるくじわじわと痛むものや、腰が不安定で疲れやすいものに用いる。胃痛や腹痛、月経痛などをを伴うタイプの腰痛にも効果がある
疎経活血湯:足腰の痛み、しびれ、麻痺などに用いる。下腿のうっ血や、筋肉のひきつれのあるもの、夜間や明け方に痛みやしびれが増すものによい。脳血管障害の後遺症にも用いる

すぐにできる養生法

急性期、風呂や温湿布で温めてはいけません。安静にして患部をタオルで巻き、漢方薬や温かいスープを飲んで発汗を促します。慢性期には、温泉や薬湯が血行促進に効果的です。慢性の軽い痛みや足にしびれが残る場合は、足指を開くグッズを1日3時間くらい使う、股関節周りのストレッチ、四股を踏むなどが効果的です。

『東洋医学おさらい帳』(じほう)より引用