症状から選ぶ漢方薬

症状から選ぶ漢方薬

あなたの辛い症状はどれですか?

不眠

病のとらえ方

慢性的に眠りが浅い、寝つきが悪いなどの症状は、漢方では気・血・水の変調によるものと考えます。気が原因の不眠は、神経質で細かいことが気になる人によくみられます。不安感が強く、心配事などが気になって寝つけないことが多くあります。血による不眠は、瘀血により血液の循環が悪くなっている場合です。のぼせやイライラが起こりやすく、なかなか寝つけなくなります。この場合、肩こりや頭痛も伴うことがあります。水による不眠は代謝の悪い水分が上衝することでおこります。へそからみぞおちあたりに動悸がして、眠れないといった場合です。また、冷えが強く、頻尿で夜中に何度も目が覚めてしまう場合も、不眠に至る場合があります。

よく用いられる漢方薬

桂枝加竜骨牡蛎湯:心配性で不安感が強く、体力がなく疲れやすい場合に。布団に入っても心配事などが気になって眠れない場合によい
柴胡加竜骨牡蛎湯:桂枝加竜骨牡蛎湯の症状に便秘や、胸脇部のはりを伴うものに
加味逍遥散:日頃からイライラが強く、のぼせがあり、心臓あたりで動悸がして眠れないものに。更年期における不眠にもよい
酸棗仁湯:体が疲れているのに眠れない場合に。胸部の悶えるような熱感が特徴である
加味帰脾湯:貧血で疲れやすいが寝つけない場合に。寝汗や発熱を伴うものにもよい
真武湯: 冷えが強く、夜間のトイレが近くて眠れない場合に。むくみやすいものによい
苓姜朮甘湯:足腰の冷えが強く、重だるく、夜間頻尿がある場合によい

すぐにできる養生法

普段の生活では、なるべく夕方以降にカフェインを摂らないようにしましょう。ビタミンB群や鉄分の不足があり、血糖が乱高下していると睡眠が浅くなります。寝るための睡眠儀式を決めておくのも良い方法です。また、夜中目覚めても時計を見ないこと。見ると時刻が脳にインプットされ、中途覚醒しやすくなってしまいます。

食事療法

不安感の強い不眠には、神経を鎮める作用のあるシソやクロマメ、シナモン、クズが効きます。シソやクロマメは酒に漬けて薬酒にするのがお勧め。シソ酒は、酒を温め、その中にシソの葉を浸して作ります。さかずき1杯の酒に対してシソの葉を3〜4枚入れ、はしなどで葉を突き崩し、お湯で割って寝る前に飲みます。クロマメ酒は、1カップのクロマメを軽く炒り、2カップの日本酒に入れて5日間冷暗所に置き、こして作ります。寝る前にさかずき1杯をそのまま飲みます。シナモンは紅茶に入れて飲むのがお勧め。首や肩がこって眠れない場合は、クズ湯がよいでしょう。クズ粉と砂糖各小さじ1杯を少量の水で溶き、熱湯を1カップ注ぎます。シソやシナモンを加えるとさらに効果的です。

『東洋医学おさらい帳』(じほう)より引用