症状から選ぶ漢方薬

症状から選ぶ漢方薬

あなたの辛い症状はどれですか?

心の不調

病のとらえ方

漢方では、心の不調は気の不調として捉えます。気は、通常へその下あたりの丹田穴に収まっていますが、不調になると上に上りやすくなり、動悸や不安感、イライラ、めまいなどの原因となります。この気が上に上った状態を「気の上衝」といいます。その他に、胸からのどのあたりに気が滞り、のどがつまったように感じ、咳払いしたくなる梅核気の症状が起きる「気滞」やストレスなどによって消化機能や体力が落ちて気が不足し、全身に気が回らなくなっている「気虚」があります。気虚では疲労や脱力感、動悸、食欲不振などの症状が起きます。

よく用いられる漢方薬

加味帰脾湯:貧血気味で、心身ともに衰弱し、気力がなく、疲れているのに眠れないものに。寝汗や発熱を伴うものによい
桂枝加竜骨牡蠣湯:神経過敏で、頭部で動悸がしたり、不安感、不眠、精神緊張があるものによい
柴胡加竜骨牡蠣湯: 桂枝加龍骨牡蠣湯の症状に便秘や胸脇苦満を伴うものに。この処方の場合、動悸は胸部にあり、イライラやのぼせ症状を伴うことが多い
抑肝散:イライラしやすく、興奮して怒りやすいものに。小児の夜泣きやひきつけにも用いる。近年では、認知症患者の周辺症状であるせん妄や攻撃性を改善するとの報告がある
加味逍遥散:不安感が強く、イライラ、のぼせ、胸部の動悸を伴うものに
甘麦大棗湯:精神不安があり、へそのあたりに動悸がして落ち着かず、ヒステリーを起こすものに。始終眠く、あくびを頻発するものにもよい
苓桂朮甘湯:みぞおちのあたりに動悸がして、立ちくらみやめまい、頭冒感、目の奥が重いなどの症状を伴うものに
半夏厚朴湯:精神不安やのどのつまり感があり、よく咳払いをするものに

すぐにできる養生法

精神不安や気持ちの落ち込みが激しいときは、規則正しい生活を心がけます。起床と就寝の時間を一定にし、午前0時より前に休むようにします。家族も、本人を励ますより精神的にくたびれていることを認めることが必要です。定期的な運動や気晴らしも大切です。動悸がするときは食べ過ぎないように腹7分目が適当です。

食事療法

甘い菓子類を控えて、良質な蛋白質や脂質、野菜類ををきちんと摂取しましょう。気分が不安なときは、精神を落ち着かせる効果のあるシソやユリ根などをとるようにしましょう。興奮作用のあるカフェインは控え、心を鎮めるカモミールティーなどに切り替えましょう。、ストレスで体がこわばってる時や、冷え症状もみられる場合はショウガや長ネギなど、発汗を助ける食べ物もお勧めです。心の不調を改善する食べ物として、シソ、ユリ根、ハスの実、小麦、シナモン、サフラン、シジミ、レモンバーム、ローズマリー、カモミール、ハッカなどがお勧めです。心の不調を助長する食べ物としては、砂糖、ケーキ、和菓子、チョコレートといった甘いもの、トウガラシなどの香辛料、カフェインの入っているもの、アルコールなどがありますので、控えるよう注意しましょう。

『東洋医学おさらい帳』(じほう)より引用