症状から選ぶ漢方薬

症状から選ぶ漢方薬

あなたの辛い症状はどれですか?

冷え性・貧血

病のとらえ方

漢方では冷え性・貧血は同様の範疇で捉えることができます。特に女性に多くみられ、症状も血行不良、疲れやすい、朝起きづらい、寝つきが悪い、立ちくらみを起こしやすいなど同じような傾向があります。冷え性・貧血にはいくつかの原因が考えられますが、漢方では、婦人科系の働きが悪い場合、胃腸機能が悪い場合、腎・膀胱系の働きが悪い場合、血液成分が不足している場合に分けて考えます。

よく用いられる漢方薬

人参湯:胃腸が冷えて虚弱な場合に。胃腸を温め、消化機能を改善する
附子人参湯:胃腸が弱く冷えの症状が強い場合に
苓姜朮甘湯:腰から下が水につかっているように冷え、小水の近いものに
八味地黄丸:腎・膀胱系の働きが弱く、冷えて足腰に力が入りにくいものに。夜間排尿が多いのも特徴
当帰芍薬散:婦人科系機能が弱く、血行不良で、むくみやすく、全身が冷えるものに
四物湯:婦人科系機能が弱く、肌がどす黒くカサカサな場合に
十全大補湯:血液成分が不足している場合に。悪性貧血、再生不良性貧血にも用いる
補中益気湯:胃腸が弱い場合に、胃腸機能を改善し、疲労を回復して貧血を改善する。胃下垂の人にも効果的
芎帰膠艾湯:経血の量が多く、貧血を起こす場合に。不正出血のある場合や、手術後や産後の貧血にもよい

すぐにできる養生法

体を冷やさない生活を心がけましょう。薄手のカーディガンやスカーフ、靴下、レッグウォーマーなどをバッグに入れておくと、外出先の冷房にもつらい思いをしなくてすみます。冷えが強い時は、使い捨てのカイロを下腹部と腰に当てると楽になります。これは、トイレが近くて困る場合にも有効です。入浴後は湯冷めしないよう髪をきちんと乾かし、眠る時は、首の周りをタオルで巻いて保温に心がけましょう。

食事療法

貧血にならないようにするには、鉄分を多く含む食材だけでなく、卵、肉、乳製品、緑黄色野菜、海藻類などをバランスよく食べましょう。またサラダより温野菜といった温かい食事を基本にします。
胃腸機能が弱いときにはニンジン、ヤマイモ、梅干し、ダイコン、ショウガ、サンショウがお勧めです。ダイコンの煮物にショイガを添えて毎日食べるようにしましょう。婦人科系の働きが弱く、月経時に貧血を起こす場合はレバー、プルーン、ヨモギ、サフランなどが効果的です。またベニバナ、サフランには瘀血を解消し、体を温める働きがあります。腎・膀胱系にいいのはヤマイモやクロマメで、夜間排尿が多い人や冷えて頻尿となる人にお勧めです。

『東洋医学おさらい帳』(じほう)より引用