症状から選ぶ漢方薬

症状から選ぶ漢方薬

あなたの辛い症状はどれですか?

膀胱炎

病のとらえ方

排尿回数が増え、排尿時の痛みや残尿感がある膀胱炎は、大腸菌などの細菌が尿道から感染して炎症がおきる病気です。漢方では「膀胱に湿邪と熱邪が入った場合」と、「下腹部の冷えによる場合」とで考えます。前者は、急性の場合と慢性の場合がありますが、いずれも膀胱の湿邪や熱邪を取り除くために炎症をおさえ、利尿を促すことで改善します。後者は、冷えると再発するなど慢性化することが多いパターンです。膀胱や腹部を温めながら、利尿を促します。

よく用いられる漢方薬

猪苓湯:口渇、残尿感、排尿痛、血尿がある場合に。排尿後、すぐに尿意を感じ、何度もトイレに行くものによい
五苓散:口渇、残尿感はあるが、排尿痛、血尿はない場合に。元来、むくみなどがあるものによい
五淋散:月経不順、尿のにごり、排尿痛、残尿感がある場合に。慢性化し、過労やストレスによって繰り返す膀胱炎によい
苓姜朮甘湯:下半身が冷えて夜間排尿が3~5回あり、膀胱炎を繰り返すものに
八味地黄丸:高齢で、冷えて夜間排尿が多く、特に尿漏れを起こすものによい
当帰芍薬散:月経痛、月経不順があり、月経時に膀胱炎を起こすものに。また、男女を問わず、冷えが強く、疲労感や、むくみ・頻尿のあるものによい

すぐにできる養生法

冷えは腎に悪影響を及ぼすので、素足は避け、腰~下半身全体を冷やさないよう心がけます。急性膀胱炎の人は、尿の出をよくし、炎症を抑えるアズキ、オオムギ、スイカなどをとりましょう。再発しやすい人は、こまめに水分をとり、トイレを我慢しない、患部を清潔に保つといったことを心がけて予防しましょう。

『東洋医学おさらい帳』(じほう)より引用