症状から選ぶ漢方薬

症状から選ぶ漢方薬

あなたの辛い症状はどれですか?

筋肉・関節痛・神経痛・リウマチ

病のとらえ方

漢方では、痛みやしびれの疾患は、痺証といい、風邪・湿邪・寒邪の三邪によるものと考えます。
風邪によるものは、かぜの時の関節痛や、風にあたっておこる三叉神経痛などがあります。この場合は、患部から汗をかかせて筋緊張を緩和し、痛みを和らげます。湿邪による場合は、梅雨時など低気圧の影響で悪化し、だるさ、むくみ、腫れ、などを伴います。この場合は、患部の湿気を取り除くことで痛みを除きます。寒邪による痛みは、冬の寒さや冷房による冷えなどで悪化します。温補薬によって体内を温め、気血の流れを改善し、痛みを除きます。
また、これら三邪はいくつかが複合して現れる場合もあります。

よく用いられる漢方薬

麻杏薏甘湯:湿気や低気圧により悪化するもので、だるさを伴う関節痛、関節の腫れ、水腫、筋肉痛などに用いる。下半身にむくみがあり、重だるいような場合にもよい
越婢加朮湯:湿邪を原因とし患部に炎症を伴うもの、消炎作用があるので、関節が熱をもって腫れ、水がたまるものによい
防已黄耆湯:体表や筋肉が湿邪に侵され、疲労感や下半身のむくみを伴うことが多い筋肉・関節痛に。体表は湿り気を帯び、主に下半身に冷たい汗をかくのが特徴である
桂枝加朮附湯:冷えと湿邪を原因とするものに。血流が悪く、手足の筋肉・関節に痛みやしびれのあるものによい。患部が赤く腫れて炎症の強い場合は適応しない
芍薬甘草湯 :筋肉疲労などによる、筋肉・関節痛に。筋肉の緊張やれん縮を緩和し、痛みを止める。ただし、腫れや水腫のあるものには適応しない

葛根湯:主に肩背より上部の頭痛、首痛、肩こり、肩背痛などの症状に。三叉神経痛にも有効。無汗で筋肉の緊張の強いものによい

すぐにできる養生法

患部は、衣服などで覆い、普段から体を冷やさないよう注意しましょう。
風邪、湿邪が原因の場合は、足湯などをして、患部からじっとり発汗させます。
ただし、腫れや炎症がある場合は、入浴などで患部を直接温めてはいけません。

食事療法

風邪が原因の場合は、長ネギ(白い部分)、ショウガなどのスープを飲み、体を温め発汗させると効果的です。湿邪が原因の場合は、アズキ、ハトムギなど、利尿作用のあるものを煮出して飲むようにします。ハトムギは消炎作用と利湿作用があり、関節の腫れや痛みに効きます。寒邪が原因の場合は、体を温めるものを積極的に取るようにし、ジュースや生野菜などは避けます。ニンニクなどもお勧めです
また、クロマメには鎮静作用、利尿作用があり、関節痛のある場合によい食べ物です。クロマメ酒が特に効果的です。なお、炎症を助長する、もち米、ギンナン、トウガラシ類、大量のアルコールなどは避けましょう。

『東洋医学おさらい帳』(じほう)より引用