症状から選ぶ漢方薬

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あなたの辛い症状はどれですか?

むくみ

病のとらえ方

漢方では、むくみを「水腫」、「浮腫」といい、「水」の流れが悪くなることによって起こると考えます。風・寒・湿などの外邪が原因の場合、五臓のうちの「心」、「腎」が弱って起こる場合と、月経時のホルモンバランスの乱れで起こる場合に分けて考えます。
外邪などによって起こるむくみは、発汗を促したり、利尿を促進してむくみをとる治療を行います。夕方に足がむくみやすい場合は、心臓に原因がある場合があります。朝、顔がむくみやすい場合や、冷えが強く夜間の排尿回数が多い場合は、腎が弱っていると考え、心と腎をそれぞれ強化する治療を行います。月経時にむくむ場合は、婦人科系の機能を調えながら治療します。

よく用いられる漢方薬

麻黄湯:風邪、寒邪に侵され、寒気や発熱とともに、顔や全身にむくみがある場合に。発汗を促してむくみを取り去る
防己黄耆湯:湿邪でむくみのある場合に。色白、皮膚に弾力がない、下半身に冷たい汗をかき、皮膚に触れるとじっとりと冷たいなどの特徴がある。また、体が重だるく、下半身の筋肉や関節の痛みを訴えるものに効果がある
五苓散:尿の出が悪く、口が渇いてむくみのある場合に。利尿し、水分代謝を調える
八味地黄丸:冷えが強く、頻尿や夜間排尿を伴うものに。主に下半身がむくみやすく、足腰を中心に倦怠感を伴うことが多い
真武湯:体が冷え、夜間何度もトイレに起きるが尿の出が悪く、むくみやすいものに。動悸や激しいめまいを伴うものによい
麻杏薏甘湯:下半身がむくむものに優れた効果がある。手足が重だるく、腰痛・膝痛を伴うものや、水太りの肥満体質のものによい
当帰芍薬散:冷え症で、月経時にむくむものに。腹痛や貧血、めまいなどを伴うものによい

すぐにできる養生法

夜遅くは水分を取らないようにし、足の血行をよくするようにしましょう。具体的には、靴下をはくなどして足元を冷やさないようにすることや、足の乾布摩擦がお勧めです。お風呂では、お湯と水のシャワーを交互に当てると、血行を良くすることができます。寝る時は、足の下に枕などを当てて少し高くするとよいでしょう。

食事療法

むくみの予防には、まず塩分と水分摂取を控えめにするように心がけましょう。
味つけなどは、薄味を心がけ、そのうえで、水分代謝に効果のある食べものをとります。お勧めは、アズキ、ハトムギ、スイカ、トウガン、クロマメ、ソラマメなどです。特にむくみやすい人は、アズキをとろ火で煮た煮汁を毎日お茶代わりに飲むと大変よく効きます。ただし、アズキは、最初の煮汁を捨てたり、砂糖やもちを入れた汁粉にしてしまっては薬効はありません。
なお、もち米やギンナンは尿の出をおさえる働きがあるので控えましょう。

『東洋医学おさらい帳』(じほう)より引用